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木瓜・カリン・ボケ

  • 2月17日
  • 読了時間: 5分

薬草図鑑02 カリン


11月下旬、ふと木の上にスポットライトが当たる。

甘い香りと鮮やかな黄色。

そうか、この木はカリンだったのかと気づく。

落葉する11月上旬ころから存在感を増すこの木は

風邪やインフルエンザが流行る頃に先立って

実を落とし、香りを放つ。

咳を鎮めたり、痰を切ったり、のどの炎症を抑える働きがあるとされています。

見た目と甘い香りに反して、渋く、えぐいので生食には向かず、

主に蜂蜜漬けや砂糖漬け、果実酒にして飲み物や料理に利用されます。


カリンのポリフェノール類(タンニンやフラボノイド)には抗炎症、抗酸化、収斂・去痰作用があり

サポニンには咳や痰を切れやすくしたり、菌を抑える働きがあります。

これらは熱湯やアルコールでよく引き出される成分なので、私は乾燥させて保管し、

咳や痰の気になるときにお茶として熱湯で抽出して使っています。


クエン酸やりんご酸はのどの炎症を抑え、唾液の分泌を促します。

種のまわりに多く含まれるペクチンやムチンといった粘り成分には、のどのや食道の粘膜を保護したり

気のつまりを和らげる働きがあるとされています。

これらの成分は、熱に弱いため、砂糖やはちみつで漬けがおすすめ。

のどがいがいがするとき、乾燥するなと感じた時にはこのかりんシロップをなめると症状がやわらぎます。のどの粘膜を潤わせることでインフルエンザや風邪の予防にもなるので、朝にひとさじなめるようにしています。

咳や痰にはお茶を。

のどの痛みや声枯れ、潤い不足にはシロップを。種も含めてアルコールに漬けたものは滋養強壮や疲労回復にも役立つと言われています。

自然の恵み、最大限に生かしておいしい養生をしていきましょう!



<カリンの蜂蜜漬け>


・カリン 1~2個(よく熟れていい香りと表面がてかてかしているもの)

・はちみつ 300g 

・保存瓶 1つ


1.カリンはぬるめの湯で軽く表面の汚れを洗い流す。

2.熱湯を回しかけ、香りを立つようになったら引き上げる。(やりすぎないように)

3.縦に半分に切り、種をくりぬく。

4.種はワタと種を分けて、種のみティーパックに入れる。

5.5mm厚くらいのいちょう切りにし、保存瓶にしきつめる。

6.蜂蜜を上からまわしかけ、だいたい半分程度までカリンが浸かるようにする。


カリンから水分がでて次第に全体が浸かるようになります。

水分がでても全体が浸からないようなら、カリンを少し減らすか蜂蜜をさらに加えます。

はじめの1週間は毎日かき混ぜるようにして、冷暗所で保存します。

1~2カ月で完成です。



<カリンの保存>


蜂蜜漬けと同様に、1~5までの工程は同じです。

5mmより少し薄い3~4mmの方が乾燥しやすく、

私たちのような山間部で湿気や雪が多い地域の場合は

薄くする方がカビにくくておすすめです。

ざるやネットに重ならないように広げて半日~1日程度天日干しし、

その後は日陰の風通しの良いところでからからになるまで干します。

乾燥の目安は指でぱきっと折れるくらい。ふにゃっとするのはまだ乾燥不足なので

パきっと折れるまで風にあてます。

保管はジップロックに乾燥材を入れて、さらに缶に入れての保管がベストです。

密閉瓶でも良いですが、どうしても空気に触れる面が広く、酸化しやすいので長期保存には向きません。



カリンは日本では木瓜(もっか)として表記されますが、

中国市場では「皺皮木瓜→ぼけに由来する木瓜」と

「光皮木瓜→カリンに由来する榠樝(めいさ)」の2種類があるようです。

効果や効能の差異はないとの記述もあり、日本薬局方外生薬規格ではカリンを木瓜と規定しています。

カリンはバラ科の植物で、主に咳、のど、痰によく作用し、痰を消る、咳を止める働きがあります。

気を巡らせる理気作用もあり、のどに何かがつまったように声がでにくい時や、胸のつかえ感のある時によく働きます。乾燥しやすい秋~冬にかけて心強い味方となってくれる薬果ですね。

漢方的な薬効とすると、主にに湿気に対して働き、筋肉や関節をゆるめたり、関節痛やこむら返りに用いられる、風湿薬として位置づけられています。実際の体感としても、カリンを乾燥させたものは筋肉の緊張を緩めたり、関節の湿気にも働くように感じていて、カリンをただののど薬と認識するだけではもったいない気がしますね。

日本の木瓜は中医学での木瓜とは別物であると理解した上で、両方の特性をここにまとめておきます。



カリン(光皮木瓜・榠樝)


五味:酸

五性:平

帰経:肺・脾

分類:止咳化痰、理気薬


・呼吸器系のケアに(咳を止める、痰を切る、喉の炎症を鎮める)

・気滞の改善に(ストレスによる胸のつかえ、食欲不振、吐き気、胃の不調に)

・軽度の筋肉の張りを緩める



木瓜(皺皮木瓜)


五味:酸

五性:温

帰経:肝・脾

分類:風湿薬


・舒筋活絡(筋肉のこわばりを解き、経絡の流れをよくする)

・化湿和胃(むくみ、重だるさを減らし、胃腸を整える)

・止瀉・止痢(水分が漏れやすい状態を引き締める)


足のつり、筋肉痛、関節痛、重だるさに

冷えと湿気に弱く、胃腸の働きが落ちている方に


カリンを割った写真
熱湯をまわしかけ、輪切りにした様子。種は種で袋にいれて蜂蜜漬けや薬酒に一緒に漬ける。

カリンを干して乾燥させている写真
雪のあとの貴重な晴れ間に天日干し。お日様が弱いので丸一日干してから陰干しで乾燥させる。

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